CASSHERN

イデオンとだけ書いて全部終わらせようかと思ったが、それもつまらないし、
それで一刀両断しきれない映画なので、ちょっと書いておこう。
ちなみに上映時間2時間20分の割には展開にメリハリが無い。
各ドラマは「人は何故戦い続けるのか?」という監督自身が設定して、劇中麻生久美子に丸のまま言わせてるテーマに、特に沿って展開しようとはしていない。
別に上条の息子のクーデターも、新造人間を作り出すきっかけとなるデウス・ウキス・マキナもそのテーマとは関係ない。 人が戦い続ける理由は特に明らかにされず、各々の立場で、憎しみなんかと全然関係なく殺す側と殺される側に分かたれ機械的に死が映し出される。
今の時期である。イラクで米国人が吊るされている時期だ。イラクイラク人が殺されている時期だ。 パレスチナでは今の今まで生きていた少女の肉片が壁に染みを作っているこの時期に、人は何故戦い続けるのかなんていうおいしいテーマを持ってして、二時間20分も費やして、9億円を使って何で何にも伝わらないんだよ?
丹念に作った裏設定は、この映画を何回も鑑賞できるだけのクオリティにしているし、画面もCGバレバレなのが恥ずかしいものの、まぁでも見応えはある。 例の樋口コンテのバトルシーンは、あれの原作がキャシャーンだということを良く伝えるが、所詮そこまでだ。
ちなみに鉄也は自分から進んでキャシャーンになるわけでも無い。


「人は他者が怖いのだ、自分と違うものへの恐怖が戦いを生んでるのだ」という趣旨でドラマが進行すれば、この映画の感想は結構変わっていただろう。
お話は、とりあえず人間は人を傷つけて生きていくんだ、駄目な僕達なんだ、いつか、いつか本当にお互いを認め合える存在になれたら良いね・・・というところでドッカーンと爆発し、魂が光の玉となり、他の惑星に降り注ぐ・・・ 要は
イデオンだ、すがすがしいほど明確な発動オチだ。
ほんとにもう、惚れ惚れするくらいキリヤ監督ってばこっち側の世界の住人である。